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愛と孤独とロックンロール

邦楽ロックを自分勝手に愛するブログ

ロックンロールは鳴りやまない

【全タイトル解説つき】新作「グアナコの足」から紐解く、GOOD ON THE REELのアルバムの素晴らしさ

バンド レコメンド ロキノン系 邦ロック 邦楽

ライブレポ溜まってるのに
正直それどころじゃない。

愛してやまないGOOD ON THE REELが
2017年2月8日に新しいアルバムを発表するそうだ。

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前作「ペトリが呼んでる」から約1年2か月。


アルバムのタイトルは「グアナコの足」
・・・意味がわからない。

人は分からないものと出会った時、まず何をするか。
伊坂幸太郎曰く、「検索する」そうで、
御多分に洩れず私もググった。

 

最初に動物が出てきたので
その足のことかと思ったら全然違った。

グアナコとは花の名前で、
花の特徴はとても茎が細いこと。
グアナコの足というのは、その細い茎のことでしょう。

どのような花かと言いますと、
まず写真で見ていただきましょう。

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世界で最も乾燥している地域、アタカマ砂漠という場所に咲く花です。

そう、世界で最も乾燥しているという
過酷な場所で、こんな細い足で立つ強い花。
それが「グアナコ」です。

なんともGOTRらしいタイトルですね。

 

砂漠に一面に咲くグアナコの花は
それはそれは神秘的な風景だそうです。

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原因は、エルニーニョ現象による異常な大雨らしいです。

 

そんな素敵なタイトルの新アルバムを待つ間、
これまでのアルバムも振り返ってみましょう。

 

最後まで読むと、前作との関連も見えてきます。
だから頑張って読め、長いけど負けるな!

 

さて、GOOD ON THE REELがこれまで発表しているアルバムは
ミニとフル含めて以下の通りになります。

一応発売順に書きます。

・世界分の一節
シュレーディンガーの二人
・無言の三原色
・透明な傘の内側より
・マリヴロンの四季
オルフェウスの五線譜
・6番線の箱舟
・七曜になれなかった王様
・ペトリが呼んでる

 

15年くらい音楽好きをやっているけども、
ここまでセンスのいいアルバムタイトルは
他に類を見ないと思います割とマジで。

 

世界分の一節
「一節」というのは"区切り"ですよね。
竹を想像してもらえるとわかりやすいんですが
竹ってつなぎ目みたいなものがあるじゃないですか。
いわゆるアレです。

他にも特有の点であるとか、そんな意味合いです。

世界分の一節。
世界の中の区切り、特有の点。

収録曲は以下のとおり。

1.夕映
2.202
3.Growing yellowish
4.あと一駅で
5.それは彼女の部屋で二人
6.雨時々僕たちまち君


ライブの定番曲「夕映」「それは彼女の部屋で二人」。
アップテンポですが、実は切ない曲が多いです。
「あと一駅で」とか、すごく切ないし。


"世界に二人だけ"の一節、
そんな一節から一人ぼっちになって
新たにできる世界の"一節"。

 

シュレーディンガーの二人
もうこれは説明いらず。
有名な「シュレディンガーの猫」のことです。

シュレディンガーの猫とは、まあググって欲しいんですが
端的に言うと生と死が同時に存在している状態を立証した実験。
交わらない2つが同時に存在するという不思議な状態。

交わらない「私」と「あなた」が
同時に存在している、もしくは重なり合っている瞬間。
きっとそんな意味合いなのではないかな、と。

収録曲は

1.2月のセプテンバー
2.いらない
3.四つの手のひら
4.写窓
5.ゴースト
6.コトノトコ

アルバム全体の雰囲気はとても陰気です。
失恋した時にシュレディンガーの二人を聴けば、
きっと嫌っていうほど泣けるはず。

ありえない瞬間、奇跡的な瞬間、
そんな二人の刹那が詰まっている作品。

「四つの手のひら」では、"世界は二人だけのモノ"という歌詞があります。
そう、箱を開ければ、そこは二人だけのもの。

 

▼無言の三原色
三原色とは2つあるみたいで、
①光の三原色 と ②色材の三原色 があります。

①の光の三原色は赤、緑、青。
三色の色を加えていくと白になるみたいです。
まじか?誰かやってみてくれ。

この三色は、ほぼすべての色が再現できるそう。

 

②の色材の三原色は、黄色、赤紫、青緑。
色を混ぜ合わせるにつれて、
この3つの色を加えていくと黒になるという、光とは逆の三原色。

比較するとこんな感じだとか。

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さて、無言とは、どんな三原色なんでしょうね。

収録曲は以下のとおり

1.コワシテ
2.ぼっち部屋のティティ
3.停止線の遥か手前で
4.迷子ごっこ
5.白日
6.シャワー

切なさオンパレードって感じです。
個人的にもよく聴いているアルバム。

「コワシテ」は、きっと誰もが感じたことがあると思う。
大好きな人、大切な人、特別な人。

幸せでいてほしいけど、
その反面
幸せにするのは自分がいい
不幸の中で自分を思い出してほしい

そんな自分勝手で行き過ぎた愛情。

「白日」もそうかな。
少し病的な愛情。
"you make me i sick you"

「シャワー」はライブの定番曲。
"赤と青をうまく回して 回して 回して"
色が出てくる唯一の曲です。

まあ、白日は「白」が入っているけど。
赤 青 白 この三つのことを指すのかもしれません。


君と僕と、何か。

 

無言の三原色。
色を足して明るい色になっていく光の三原色と、
色を足して暗くなっていく色材の三原色。

無言が織りなす曲の多様性は
混ぜ合わせると透明になるような作品です。

 

▼透明な傘の内側より
GOTR初のフルアルバムですね。
収録曲は以下のとおり。

1.アイスランド
2.第三質問期
3.迷走
4.青い瓶
5.向日葵とヒロインと僕
6.うまくは言えないけれど
7.NO FUTURE
8.ホワイトライン
9.透明な傘の内側から
10.ハッピーエンド

GOTRは雨バンド。
雨に縁のある、そんなバンドなので
雨や傘がモチーフになっているグッズも多いです。

透明な傘、おそらく最も多くの人に使われているであろう、
透明なビニール傘。

そこから見える景色は、いつもの日常を
ちょっとゆっくり再生させて感じですよね。

雨の日ってなんだかぼーっとするし。

全体的に力強さを感じる作品。
ライブで定番なのは「ハッピーエンド」かな。

うん、ハッピーエンドが好きすぎて
私の中では1番GOTRらしい曲だと思っているので
これがこのアルバムの代名詞とでも言っておきたい。

"どうなるかは分からないけど
私はまだ歩いてみるわ
だって そうでもしなきゃ ほら
どうなるかは分からないじゃない"

どんな綺麗ごとよりも
素直で反論しようもないまっすぐな言葉。
GOTRが凝縮されてます。

 

▼マリヴロンの四季
マリヴロンとは宮沢賢治の作品「マリヴロンと少女」から来ています。
マリヴロンはとても有名な声楽家
そのマリヴロンと、ある少女のお話なんですね。

その少女は自分の存在価値に疑問を持っている
というか存在価値を見出せずにいる、の方が近いかな

まあそんな感じの少女なんですが、
マリヴロンも、この少女も、
存在価値に差などないわけで。

収録曲はこちら。

1.素晴らしき今日の始まり
2.ハイド&シクシク
3.花
4.ただそれだけ
5.ユリイカ
6.24時間

ライブの定番曲「素晴らしき今日の始まり」。
これはもはやバンドの代表曲でもありますね。

どうしようもないこともある。
守れない命もある。
それでも自分の命はまだ続く。
さあ、すばらしい今日を始めよう。
そんなまっすぐな、力強い歌。
かと思えば、「花」は急に儚く、弱々しく、

「ただそれだけ」はとってもシンプルで
"ただそれだけで生きれるなんて思ってもなかった
理屈なんかは中身がなかった"

そんな歌です。
ボーカルの千野さんが大好きな
星の王子さま」も歌詞に出てきますね。

ちなみに星の王子さまの引用は他の曲でも出てきます。

 

オルフェウスの五線譜
ギリシャ神話に出てくる吟遊詩人です。
竪琴を弾くと、森の動物たちばかりでなく木々や岩までもが彼の周りに集まって耳を傾けたと言われるほどの名手。

 

愛する妻が死に、その妻を取り戻そうとして
でも結局、悲しい結末になってしまいます。

ギリシャ神話とか北欧神話
割と何らかの作品のモチーフになりがちなので
読んでおくと面白いかもですな。

そんな美しいオルフェウスの収録曲は

1.存在証明書
2.ガーベラ
3.いちについて
4.それだけじゃ
5.願わないように
6.より

何ていうんですかね、
GOTRがよりGOTRらしくなったというか、
そんな感じのする作品です。

一人一人を肯定するというか
ありのまま受け入れるというか
そんな感じの包容力が、この作品からは感じるわけで。

"死の向こうには何も無い 
だから僕はその時まで・・・歌う"

「より」で歌われるこの歌詞は
まさにオルフェウスが奏でる妻への心情なんでしょう。

 

▼6番線の箱舟
箱舟とは、まあ「ノアの箱舟」のことでしょうな。
優しいフォロワーさんが教えてくれたんですが、
6番線というのはGOTRのボーカル千野さんが
東京から地元に帰るときに乗る電車が6番線だったのだとか。

辛い場所から救ってくれる6番線。
自分にとっての6番線のように
誰かの救いになってほしいとのことです。

素敵なタイトルだこと。


1.水中都市
2.ゆれて
3.トワイライト
4.せい歌
5.匿名
6.カルキニクハ

個人的に「匿名」が大好きです。
花の名前が出てきます。
アルメリアと勿忘草。

アルメリア

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勿忘草

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花言葉は色々ですが、
アルメリアは「同情」「共感」「思いやり」
勿忘草は「私を忘れないで」

匿名性が当たり前のネット社会が発達した今、
思いやりや心遣いを忘れないで。
そんな思いが詰まっていたりしてね。

 

そしてこのアルバムタイトルとリンクしているのが
「カルキニキクハ」です。
"ひどく明るい賛美歌を"
"いつくしみ深き君のために祈り"

などというね、賛美歌ベースの歌詞があります。
もちろん「せい歌」も聖歌のもじりでしょうがね。

 

▼七曜になれなかった王様
七曜、つまり月・火・水・木・金・土・日。
実はこれ天体なんですよ。

肉眼で見える惑星を五行と対応させた火星・水星・木星・金星・土星と、
太陽・月(陰陽)を合わせた7つの天体のことである。七曜星とも言う。
七曜の内のある天体が守護する日をその天体の曜日と呼んだ。
(from wikipedia

守護霊になれなかった王様、という意味ですね。
こちらで再び「星の王子さま」が顔を出します。

収録曲はこちら

1.夜にだけ
2.限りなく透明な
3.ドア
4.迷子センター
5.エターナル・サンシャイン
6.ヒツジと花の戦い

個人的にお気に入りの「ドア」や「エターナル・サンシャイン」が入っているのですが、困ったことにまだライブでは聴けていません。くっそ〜う。

GOTRのアルバムの中で、
最も優しいな、と思います。

迷子センターは人間らしいです。
"迷子の迷子のアナウンス どこに向かえばいいですか?"

大盛況の迷子センター。
子供でも大人でも、結構みんな迷子やと思うんですよ。

自分の役割や価値がわからなくなって
だから働いたり恋愛したりするんだと思うんですけど。

そんな不安をそのまま、
誰に何を言うわけでもなく、そのまま歌ってます。

 

「ヒツジと花の戦い」
これが星の王子さまに出てくるお話です。

砂漠で過ごす一人ぼっちの王子様に
急に聞こえた不思議な声。
みるとそこには小さな男の子。
「羊の絵を描いて!」という男の子に、
羊の絵を描いてあげるところ王子様。
でもなかなか「これは違う」と認めてくれず、
王子様が書いたのは「箱」の絵。

この出会いから、王子様の旅が始まるわけです。

"何百万年も前から、花はトゲとつける
でも何百万年も前から、羊は花を食べる。
羊と花と戦いが重要じゃないっていうの?"

こんな一節があるんですね、旅の中に。

"大切なものでこそ 目には見えなくなっているんだ
宝箱の中 外からじゃ見えやしないでしょう”

曲に中にはこんな歌詞があります。

結局この星の王子さまは、
7番目に地球にたどり着くわけでございます。

▼ペトリが呼んでる
やっとここまで来た・・・長いわ。
読んでくださった方もどうもありがとう。

さて、ペトリです。大好きな作品です。
収録曲にも「ペトリコール」というものがあるんですが、
ペトリコールって皆さんもよく知ってます。

雨が降った後の、独特な匂いってありますよね。
それです。その匂いを「ペトリコール」と呼びます。

田舎では特にその匂いが顕著なのですが、
ペトリコールには発生条件があるんですね。

特定の植物から生じた油が地面が乾燥している時に、
粘土質の土壌や岩石の表面に吸着し、雨によって土壌や岩石から放出されることにより独特の匂いが発生する。

 

つまり特定の植物がないとアカンのさ。

 

そんなペトリの収録曲はこちら

1.BYSTANDER
2.サーチライト
3.つぼみ
4.rainbeat
5.シャボン玉
6.So Late Me
7.スケール美術館
8.ノースポール
9.REM
10.さよならポラリス
11.Mr.Week
12.ペトリコール

フルアルバムということもありますが、
いろんな顔のGOTRがみられます。

BYSTANDER」や「REM」は力強いロックチューンで、
シャボン玉」や「So Late Me」はとても優しい。

rainbeat」「ペトリコール」はとにかくポップ。
一度聴いたら口ずさんでしまう雨の曲です。

結構繋がってますね、この2曲。

雨で思い出す童心。
雨で思い出す、忘れていた気持ち。

雨に打たれたくなるナンバーです。
歌詞も載せたいけど抜粋できないからみんな聴いてください。

 

▼ペトリに続く「グアナコの足」の意味
この雨アルバムの次に出た作品は
シングルで「雨天決行」。

皮肉かよって思うかもですが、違いますよ〜。

聴いてくださればわかりますが、
これも童心が蘇るナンバーです。

ペトリに呼ばれて雨に打たれて、
忘れていたあの頃の自分を思い出すのが「ペトリが呼んでる」。

「雨天決行」はその名の通り、
思い出したら行動しようぜっ!て感じです。

youtu.be

"僕がついてる" そう歌うように、
「ペトリが呼んでる」が"僕"に値してると思うんですよね。

怒りの感情に近いような曲も、
1週間を歌った日常的な曲もある。

そんなペトリを受けて、
さあ今だよ!って、背中を押してくれる
一種のアンサーソングだと思います。

 

そのアンサーソングが収録されるのが、
次回作「グアナコの足」です。

冒頭でも書きましたが、
世界で最も乾燥しているとされる砂漠に咲く花です。

その足(茎)はとても細くて、
それでもしっかり根をはるわけです。

グアナコが咲く要因とされるのが、
エルニーニョ現象」という大雨。

そう、雨です。

ペトリで雨に打たれたら、
冒険に出かけて、
そして花が咲くわけです。

 

他の収録曲が今から楽しみ。
どんな花が咲くんでしょうね。